目指しているもの

自然回帰のワイン醸造

私がまだ若い頃、山形県南陽市の実家で栽培していたぶどうの出荷を手伝っていた時の話です。

房の大きさや形のせいで出荷できなかったぶどうを一箇所にまとめておくと、いつの間にか自然に発酵しています。これは「大自然が作ったワイン」とも言えるもの。ワインというのは自然の恵みと実感しました。

そのような思いから、当工房が心がけているのは「自然回帰のワイン醸造」です。

小さなワイナリーだからこそ、理想を追い求めることができます。小さなワイナリーだからこそ、全ての工程を完全にコントロールできます。

この強みを活かし、より美味しく安全なワインをご提供したい。何より、自分たちが作っていて楽しいワインを目指したい。そう考えています。

地元の素材を使う

当工房のある会津地方を始め、福島は果樹栽培が盛んな地域です。ワインを作るにあたり、地元の素材を最大限に活かしたいと考えたのは自然なことでした。

このような思いを多くの生産者の方々にご理解いただき、今では猪苗代町で栽培された「山ぶどう」、会津若松市北会津の 「マスカットベーリーA」、郡山市熱海町の「メルロー」「サンセミヨン」などを提供いただいています。

どれも栽培した方たちの思いがこもった素材ですので、ワイン造りにも気合が入ります。

また、地元の方が自家栽培のぶどうやりんご、時にはサルナシを当工房にお持ちになり、醸造を委託されることもあります。今後も地元に貢献できる工房、地元に愛される工房を目指していきたいと考えています。

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磐梯熱海のぶどう園
メルローに袋掛けして栽培
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山形南陽市のデラウェア
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磐梯山麓の山ぶどう
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会津・小森ぶどう園のベーリーA
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小森さんとぶどう園

チャレンジすること

ワイン造りへのチャレンジ

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バンクーバでの研修(2005年10月)

定年を迎えるにあたり職場に残ることも出来ましたが、それまでの仕事以外のこともしてみたいと思い、ワイン造りに巡り会いました。

そもそも私が進んで来た道は「電気工学」。

ワンボードマイコンの頃からアマチュア無線をやったり、衛星を使ってFAXのやりとりをしたりしてました。アマチュア無線でのデータ通信を試み、例えば水力発電のゲート制御を遠隔で操作する模型なども作りました。

ワイン作りは、例えブドウの品種が一緒でもワインの仕上がりは毎年違います。同じブドウでも、毎年そのぶどうと向き合い、どの様な手順・分量・加減が良いのかを探りながら醸造していくのです。

計画を立て、段取りし、構築する。結果から得たフィードバックを元にまた計画を立て、段取りに活かす。電気工学の世界とワイン醸造は「ものづくり」という点で共通していると感じています。

もちろん、ワイン造りを始めるまでも、始めてからも、数えきれないほどの困難はありました。それを1つずつ乗り越え、自分の手で福島の素材を使ったワインを造れたのですから、チャレンジのしがいがありました。

新商品へのチャレンジ

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猪苗代産山ぶどうの微炭酸ワイン 375ml

猪苗代町の磐梯山麓で栽培されている「山ぶどう」を活かし、より魅力的なワインを作りたい。そんな思いから「微炭酸ワイン」に仕上げることを考えました。

発酵の際に炭酸ガスが出ますが、本来なら完全に発酵が終わってから出荷するので、商品にガスは残りません。ワインボトル内で発酵が続けば、発生したガスが炭酸としてワインに溶け込み発泡ワインとなります。

ボトル内での発酵が弱いと発泡も弱くなり、強すぎると危険もあり、そのどちらもベストな美味しさから外れてしまうので、加減が必要になります。

またボトル内で発酵するので、通常のコルク栓では抑えきれず、王冠で封じ、安全ため厚みのあるボトルを使用するなどの対策も大切です。

試行錯誤を繰り返し、ついに商品化できたこの猪苗代産山ぶどうの微炭酸ワインは、平成26年度の「ふくしま新風味開発」に選定されました。

新たなチャレンジの支援

今回の起業、工房設立、酒造免許取得の経験を生かして、ワイン工房設立の初期支援を行っています。小資本で小規模な個人経営、または家族経営などをめざす方の支援です。

支援は基本的に無償で、多額のコンサルタント料や免許取得代行料などは必要ありません。但し、法人や団体などの場合は、有償支援となります。

この件で工房を訪問される場合は、電話等であらかじめ申し込んで下さい。作業の都合上、予約なしの突然の訪問には対応をしておりません。